靴家さちこ
サンタクロース村メルマガ読者の皆様、Hyvää Uutta Vuotta(あけましておめでとうございます)!フィンランド在住フリーライターの靴家さちこです。3週間近くに及んだクリスマス休暇の終わりがけにフィンランド南部でも少し雪が降り、突然-20度後半を下る日が4、5日も続きました。天気予報では赤い「氷点下警報」が表示され、もう数字のことは考えたくない、綺麗なものだけ見ていたい、そんな気分です。というわけで、今回は2016年注目の、フィンランドを代表する美しいリビングウェアブランド、イッタラ(iittala)の最新アイテムの話題をお届けします。
「フィンランド近代建築の父」と呼ばれる建築家アルバ・アアルト(Alvar Aalto)は、デザイナーとしても、世界的に有名なアルテックの家具やイッタラのデザインにも素晴らしい名作を残しています。中でも創業1881年のイッタラが誇る超ロングセラーで、フィンランドの湖の形を模した美しいオーガニックデザインで知られる「アアルトベース」は、彼のアイコン的な作品の一つです。今年2016年は、そのベースを含むアアルトのコレクションが設立した80周年ということで、ノスタルジックなエメラルドグリーンの新色がリリースされました。このフィンランド人好みのクリアな緑は、アアルトの妻でデザイナーのアイノ・アアルトの1932年のコレクションに使われた色を再現させたものだそうで、なんだかロマンチックですね。
イッタラといえば、「バード」シリーズで知られる巨匠、オイバ・トイッカ(Oiva Toikka)も有名です。1972年に彼が小さなガラス工房ヌータヤルヴィ(Nuutajärvi)で発表したガラスの鳥のオブジェは一世を風靡し、中でも「アニュアルバード」と呼ばれるシリーズは、1996年から毎年作られ、一年限定で生産されています。「ハーベスト・パフボール(Harvest Puffball)」と名付けられた今年のバードは「地に足がついた鳥」だそうで、温もりのある茶と光沢のあるシルバーのツートンカラーが特色です。アニュアルのコレクションには卵の形を模した「エッグ」と「キューブ」と呼ばれる四角いオブジェも含まれるのですが、どちらもおそろいの地に足がついたアースカラーです。さらに新種の「アンナ(Anna)」と「マリ(Mari)」という単色の温かそうな色合いの鳥たちも仲間入りして、見る人の目を和ませてくれます。
さらに今年のイッタラには、新しくユーモラスな狐の姿をしたガラスのオブジェも仲間入りしました。その名も「ヴルペス(Vulpes)」。アパレルからインテリアまで幅広く活躍し、イッタラでは「タイカ(Taika)」や「タンッシ(Tanssi)」といった森の動物が登場する物語風デザインのテーブルウェアを代表作とするイラストレーター/デザイナーの、クラウス・ハーパニエミ(Klaus Haapaniemi)が手がけました。このヴルペスは、フィンランドの尻尾で空にオーロラの火をつける伝説の狐や、日本では神の使いとして親しまれた賢い狐と「狐火」などの不思議な言伝えからもインスピレーションを得てデザインされたものだそうです。このコレクションは、赤い「プナセルカ(Punaselkä)」と、澄んだ青色の立ち姿が美しい「ホペアセルカ(Hopeaselkä)」の二匹の狐から成ります。湖といい鳥といい狐といい――本当にフィンランド人が自然に触発されて繰り広げるデザインアートの世界には限りがありませんね。あれこれデザインアイテムを飾っているうちに、家の中も外の自然界と変わらないようになってしまいそうです。それでは皆さま、Hyvää päivän jatkoa(良い一日を)!