2018年版ムーミングッズに注目
靴家さちこ
サンタクロース村メルマガ読者の皆様、Moi!フィンランド在住ライターの靴家さちこです。7月です!夏至がもう終わっちゃいました。白夜のピークを祝う夏至祭は「パウリーナ」という名称の強風の嵐にみまわれましたが、「安定の天気の悪さだ」とかえって落ちついてしまった私と周囲のフィンランド人。なるほど精神力が鍛えられるというものです。さて、これからは毎日じわじわと日が短くなるのですが、それにはまだ気が付かないふりをして近所の大型スーパーマーケットに潜入し、ムーミングッズの動向を調べて参りました。
「ムーミングッズといったら陶器ブランドのアラビアのアウトレットじゃない?」と思われたそこのあなたは、鋭くていらっしゃる。ついでにアラビアの博物館ではムーミンとアラビアの出会いをふり返る歴代マグの展示もありますからね。お土産にはフィンレイソンのムーミンハンドタオルもお手頃ですよね。
しかし、ブランドものの食器とはいえ日用品には違いがありませんから、大きめのスーパーマーケットでもアラビア、イイッタラ製品は売っているのです。しかもリーズナブルな価格で。ついでに食料品、トイレタリー用品の中のムーミンを発掘すれば、ムーミンたちがいかにフィンランド人のライフスタイルに入りこんでいるか、かいま見ることもできますよ。ヘルシンキ中央のK-Supermarket(コースッペルマルケット)の品ぞろえも豊富ですが、もっと大がかりなスーパー巡りをしてみたいという方には地下鉄に乗ってルオホラハティまで足をのばし、K-Citymarket(コーシティーマルケット)やS-market(アスマルケット)もおすすめします。
さて、私が潜り込んだのは地元トゥースラから最寄りのケラヴァにあるPrisma(プリスマ)という大型スーパーマーケットです。「え!ヘルシンキじゃないの?」とおっしゃる皆さん、安心してください。フィンランドは平等が取り柄の国ですから、どんな田舎に行っても同じ小売りチェーン2社(KグループもしくはSグループ)がほぼ均質な品ぞろえで展開しているのです。
この店で真っ先にムーミン一族に会いに行くとするならば、やっぱりアラビアのムーミンマグコーナーです。発売された年月、新旧関係なく無造作に、とにかくこれまで販売されてきたムーミンマグがキャラクター別に並べられており、圧巻です。それだけではすみません。もちろん2018年夏発売の最新のムーミンマグだって、お皿とセットで堂々特設コーナーに収まってます。ひとシーズン前に発表されたシリーズも、まだじっくり特設コーナーに堂々と飾られています。他にもイイッタラのムーミングラスに、フィスカルスのムーミンカトラリー、フィンレイソンのムーミンタオルもバスタオルまで各種そろってます。
2014年のトーベヤンソン生誕100周年と2015年にはムーミン出版70周年に続き、昨年2017年はフィンランド独立100周年記念だったものですから、ムーミングッズはそのころからせきを切ったようにどどーっと市場にあふれてきました。それ以前はムーミングッズの数とデザインにはちょっと物足りなさを感じていたのですが、それぞれのアニバーサリーイヤーにムーミンからインスピレーションを受けて、多くのデザイナーがムーミンデザインを手がけ、数多くのアイテムが商品化されてからは胸を張って「ムーミンの国」と言えるようになった気がします。
日本からの観光客のみなさんが「あれ、あんまりムーミングッズってないんですね」と、がっかりされていた頃からも、Fazerのムーミンクッキーや、NORDQVISTのムーミン・ティーといったムーミングッズの定番はありましたが、デザインが更新されたり種類も増えたりしているので、油断は禁物ですよ。「いつものあれか……」と思っていた定番が急にかわいくなっていようもんなら、思わず買ってしまいますからね。
逆にここ数年増えてきてる?と思っていたムーミンのベビーグッズが、こちらのお店ではまるで影を潜めていたのには驚きました。一時期はかわいいだけじゃなく、おしゃれなムーミン哺乳瓶もたくさん出ていたのに、ムーミンおむつぐらいしかない!売り切れたらひたすら入荷待ちとか、ちょっと売れなくなったらもう入荷しないとか、他のスーパーに行ったらたくさん売ってたとか……ふふふ、これがフィンランドってやつですよ、奥さん。
気を取り直してベビー食品コーナーをせめてみたら、ニョロニョロスナックがありました。こちらは6か月以上の赤ちゃんから食べられる薄味のスナックです。日本のお菓子に置き換えればカールやキャラメルコーンのようなサクサクのコーンパフで、味はプレーンといちごの2種類です。さらにオーガニックなので健康的ですね。お菓子といえば、あの黒い怪しいグミキャンディーのラクリッツもラズベリー味とブルーベリー味、これはここ数年定着し続けています。
さて、店の隅々まで歩き回ってみた結果、ムーミングッズの数が最も増えていたのは、ボードゲームでした。子供たちの親の世代にもなじみがある定番のムーミンゲーム以外に、アルファベットや数字も学べるものや、言葉で説明する練習をするものなど、教育的要素が大きいゲームが多いですね。
そういえば、子供たちにムーミンの物語を積極的に読み聞かせる親御さんって、ちょっと教育熱心だったりしますからね。このようにして次世代にも受け継がれてゆくムーミンを見守ったところで ああ、胸が熱くなりました。それではこの先も活躍し続けるであろうムーミンたちに「Hyvää jatkoa(ヒュヴァー・ヤトゥコア=引き続きがんばって)!」とつぶやいて、お夕飯の食材でも買って帰ることにいたします。