靴家さちこ
サンタクロース村メルマガ読者の皆様、Moi!フィンランド在住ライターの靴家さちこです。今年は11月の中旬に本格的に雪が積りました。フィンランドといえば寒い北国のイメージなので、「それがどうした」と思われるかもしれませんが、南部で11月中に20㎝も雪が積ったのは、5年ぶりぐらいのことです。約一週間続いた雪景色のおかげで、すっかりクリスマスムードに火が付いてしまい、久しぶりにヘルシンキの「クリスマス・ストリート・オープニング」に出かけようと奮起したら、計画したその日から連日雨が降り、雪がすっかりとけてしまいました。今回は、そんな逆境にもめげずに次男と見てきた「クリスマス・ストリート・オープニング」の様子をお伝えします。
ストックマンデパートが目印のアレクサンダー通り 今からサンタさんに会いに行きます!(Jussi Hellsten/Helsinki Citiy)
ヘルシンキ中央のストックマンデパートから、白亜のヘルシンキ大聖堂まで続くにぎやかな大通りのことを「アレクサンテリンカトゥ(アレクサンダー通り)」といいます。マリメッコを筆頭に、おしゃれなブティックやカフェが軒を連ねるこの通りは、ヘルシンキ公式の「クリスマス・ストリート」です。ヘルシンキでは11月下旬の週末にヘルシンキ市長が、このアレクサンテリンカトゥの頭文字Aをかたどったイルミネーションを点灯し、「クリスマスシーズン」を始まる伝統があります。その人々が待ちわびる恒例イベントには、なんと、ラップランドからサンタクロースも駆けつけます。子供達や外国人や観光客は、夕方からヘルシンキ中央エリアをぐるりと周る「サンタクロースパレード」を目当てに、大聖堂がそびえる元老院広場周辺に集まります。
午後2時過ぎに元老院広場に来てみると そこにでは合唱団がクリスマスソングを歌っていました。 筋肉モリモリのお兄さんの力強いダンスも!
大聖堂に続く石の階段では合唱団が様々なクリスマスソングを歌い、子供向けのイベント司会者や不思議なキャラクター(?)も登場して一緒に盛り上がります。音楽より食べ物!という人達には、赤十字はボーイ・ガールスカウトが資金集めに開いている屋台では、温かいグロッギ(ベリージュースにシナモンや八角などのシナモンで味付けした、グリューワインに似たクリスマスの飲み物)や、ピパルカック(ジンジャーブレッド)にリーシプーロ(お米のミルク粥。シナモンとお砂糖をふりかけていただく)、それからヨウルトルットゥ(プラムジャムを乗せた星形のタルト)も、2~5ユーロで売られています。
寒さを吹き飛ばす美味しそうなにおいにつられて歩いていくと 赤十字がリーシプーロ(お米のミルク粥)を販売していました。
クリスマスには関係ありませんが、焼きたてのアツアツのレットゥ(クレープ)も売ってますよ。甘いものばかりでなく、フィンランドといえばのマッカラ(ソーセージ)やホットドックも売っています。端っこから端っこまで屋台を巡れば、体もほくほく温まりお腹も満たされること請け合いです。
それにしてもこの寒いのに、野外でパレードを見るだなんて、普通の日本人の感覚だったら、間違いなくしっかり防寒して、一番見えやすそうな場所に数時間前からシートを敷いて待機しておきたいところですよね。ところが、そんなの全然OK、テキトーで大丈夫です。3時にサンタさんが古い木造のトラムで元老院広場に到着したころから、ちょっとずつパレードが通るルートの周辺に人々が並び始めます。途中で気が変わって、立っていた場所から移動しても、すんなり前の方に並ぶことができます。人口の少ない国って素敵!と心躍る一瞬です。時刻は間もなく午後4時 木造のレトロトラムに乗ってサンタさんが到着しました
さてさて、ついにサンタクロースが大聖堂前の階段を上り終えたところで、ヘルシンキ市長を始めとするの要人数名のスピーチが始まり、元老院広場の中にある大きなクリスマスツリーにも電飾が灯され、いよいよサンタさんの出番です。大きな長いひげのおじいさんですが、背中をまっすぐに堂々と大きな声でクリスマスの挨拶をするサンタさん。フィンランド語とフィンランドのもう一つの公用語であるスウェーデン語と英語と、3か国語でよどみなく話す様子に心打たれ、思わず「サンタさーん!」と叫びたくなるような……気がしたのは私だけでしょうか?
3か国語でスピーチをするサンタさん ヘルシンキ市長のスピーチの後に、アレクサンダー通りのイルミネーションがつきました!
パレードは、雪だるまとヘルシンキ市の緑のゆるキャラ「ヘルッピ」を乗せたカートから出発し、ヘルシンキの街を代々守ってきたレトロな消防車が続き、『くるみ割り人形』をテーマにした鉛の兵隊やお人形、ネズミや妖精達が踊りながら練り歩きます。赤と白のクリスマスの装束を身に付けた大人や子供に犬たちも行進し、やがてサンタさんを乗せたカートも巡ってきました!「サンタさーん!」「サンタさーん!」嗚呼、サンタさんは私達の反対側を向いたまま手をふって行ってしまいました。場所は簡単に確保できますが、パレードでサンタさんがどちらを向いて手をふるかまでは予測不可能……だったのでした。
パレードの始まりです! 来た来た来た! レトロ消防車が続いて登場です雪だるまとヘルッピ!
馬車に乗った子供たち!いいなぁ…… 怖いネズミが出てきました! このお姫様と王子様は……? 国立オペラ座のバレー団による「くるみ割り人形」でした。綺麗…… おもちゃの国の兵隊さんに続いてサンタさん!サンタさあああああん!!!
そんなわけで首から大きなカメラをぶら下げたまま、サンタさん以外の全てを画像に収めた私でしたが、人々の「後ろから追いかけよう!」という言葉に勇気づけられ、Aの電飾輝くアレクサンテリンカトゥを、パレードを追うように次男と一緒に歩きました。ほんの束の間、目の前を通り過ぎたクリスマスの幻想に包まれながら。それでは皆さん、「Hyvää joulun odotuksia(ヒュヴァー・ヨウルン・オドトゥクシア=良いクリスマス待ちの季節を)!