サンタクロース村メールマガジン読者の皆様、Moi(こんにちは)!フィンランド在住ライターの靴家さちこと申します。
フィンランドではヘルシンキから35キロのところにあるトゥースラに、夫と10歳と6歳の息子達と暮らしています。ご縁があって、サンタクロースの国フィンランドから旬な話題を発信させていただいております。
さて今回は、夏至が過ぎてもまだまだ夏本番のフィンランドから「アイスクリーム」の話題をお届けいたします。フィンランドのアイスクリームといえば、10年前に私が日本から移住してきた年に洗礼を受けたのですが、まず夫から聞いてびっくりしたのが「フィンランドはアイスクリームの個人消費量が世界一」ということでした。
こんな寒い国でまさかぁとすぐには取り合わなかったのですが、5月に入るともう街中にアイスクリームスタンドが立ちますし、夫が箱入りでアイスクリームコーンをチョコ、バニラ、イチゴと3種類も買ってきて冷凍庫に押し込み、毎日せっせと食べているものですから、いよいよ気にしないわけにはいかなくなりました。
当時は6月というと、日本の梅雨のイメージを引きずっており、夏至で白夜のある6月が「ケサクー(夏の月)」と呼ばれ、夏のクライマックスだということがなかなか実感できませんでした。が、しかし街や公園で見渡す限りのフィンランド人が、晴れの日も曇りの日もアイスクリームを食べているではありませんか。ベビーカーに座っている赤ちゃんまでコーンをしっかり握って……。
それにしても、寒くて暗い時期が6か月も続くこの国で、最長2か月の夏の間だけでそれほど多くのアイスクリームが本当に消費されるものだろうかと、この件に関しては長々と疑問を引きずっていました。そして、あるマイナス10度の極寒の日に駅のホームで鍋つかみのような分厚い手袋をはめたままアイスキャンディーを食す女子学生を見た時に確信しました。これは夏だけではない、一年中いつでもどこでも食べてるぞと。これが世界一の秘訣に違いないと。
さて実際には、ユーロモニターの統計に寄りますと2012年現在ではフィンランドのアイスクリームの個人消費量は、14.1リットルで世界3位、欧州では1位です。ちなみに1位と2位はオーストラリアとニュージーランドと南半球の方が優勢です。さらに日本は16位で7リットルとフィンランド人の約半分を食べている計算になります。
ついでに10年前の統計(2003年)を調べてみたら、フィンランドは世界で8位、欧州でもスウェーデン、アイルランド、ノルウェーに次いで4位でした。あれぇ……「世界一」ではないみたいですよ、夫!!!しかし、続けてここ10年の動向を調べてみたら、上位国はアメリカやオーストらリア、ニュージーランドに北欧国が固定してはいるものの、毎年順位に大きな変動があるので、夫が統計を見た時にはフィンランドが「世界一」だったのでしょうね(良妻)。
今年の夏も我が家の冷凍庫には、アイスクリームコーンの箱が常備されています。さらに5月末のイチゴやベリー類が市場に出てくる季節からは、四角い箱入りのバニラアイスも加わってます。夫は街で一番新鮮なベリーを売っているスタンドを選んで週に1回か2回通い、ベリーもアイスクリームも自分の眼で厳選したものとこだわっているので、私は密かに「アイスクリーム奉行」と呼んでおります。
ところで、アイスクリームが四角い箱?と疑問に思われた方は鋭いですね。そうなんです。フィンランドのアイスクリームは牛乳パックのような材質の長方形の箱に入っているのがスタンダードでして、箱の真ん中の切り取り部分を取り除いたら後は箱の一面一面をはがすようにして開けます。そして、四角いレンガ状のアイスを包丁でだんだんと切って、豪快にボールに盛りつけます。イチゴやラズベリーやブルベリーなどもそれぞれボールに盛って、好きなだけトッピング。お代わりも自由です。アイスクリームは、夏休み中にお客様を迎える時のおもてなしにも最適ですが、一日に1回か2回、食事の後のデザートとしても食べます。
肝心のお味の方は、実のところ、ハーゲンダッツのようなこってりした味が好きな私は初めて食した時にがっかりしたぐらい、甘さひかえ目でコクもなく、実にあっさりとしています。そこは、一日に何回飲んでも脂肪の取りすぎにならないように、コーヒーにはクリームを入れずに牛乳を入れるフィンランドらしく、アイスクリームも一日に何回でも食べられる仕様になっているのでしょう。
というわけで、今年も一日1回か2回は食べてます、アイスクリーム。バニラも美味しいですけど、ベリーの国でもあるので、ストロベリー味も香りが本物らしくて美味しいです。さらに我が夫のように一度に3箱も買う人がいるくらいから、アイスクリームのコーンは常に新鮮でパリパリしてます。(時々ふにゃふにゃのもありますが)トッピングのチョコレートやナッツなどにもちょっと日本のメーカーでは出せない味もあります。うーん、さすがアイスクリーム狂の国ですね。それでは皆様、ヒュヴァー・ルオカハルア(いただきます)!