サンタクロース村メールマガジン読者の皆様、Hyvää uutta vuotta(ヒュヴァー・ウウッタ・ヴオッタ)、あけましておめでとうございます!フィンランド在住フリーライターの靴家さちこです。
フィンランドは2年連続暖冬で、あわや再び「Musta joulu(黒いクリスマス)」になるのかと心配されましたが……クリスマスイヴには真っ白な雪が舞い降りてきました!!それにしても異常気象なのか、今でも-1~2度ぐらいが数日続いたかと思うと、突然-12度まで下がり、翌日からまた一気に-1度まで上がるという気温の上昇が慌ただしい日々が続いています。
さてそんなフィンランドでも、この不思議な気候とは無関係に、引き続き「ムーミン」が熱いです。
昨年も、日本でも「MOOMIN!ムーミン展」が各地で開催され、ムーミングッズもあちこちで目に入る年だったと思いますが、それは、ムーミンのお話の原作者であるトーベ・ヤンソンの生誕100周年をお祝いしてのことでした。(https://santaclausvillage.jp/nordic/moomin/)そのトーベが、作家として初めてムーミンのお話を書いたのは、今からちょうど70年前の1945年の事。つまり今年、2015年は、ムーミン自身の生誕70周年なのです。
ちょっと豆知識を披露しますと、ムーミンのキャラクターらしきものの歴史はもっと古く、その起源はトーベが10代の頃にトイレの壁に描いた「スノーク(=とても醜い生き物)」だと言われています。公に初登場したのは1934年で、政治風刺が主題の月刊誌『ガルム』の挿絵に描かれたものでした。ムーミンは、その他にも、1947年にヘルシンキの市庁舎の大壁に掲げられたフレスコ画の中にも描かれています。
ムーミンとはご存じの通り、トロール、つまり妖精です。ふざけてフィンランド人に「本当はカバなんじゃないの?」と聞くと、かなり憤慨して「違います!」と否定されます。私などは、息子たちに同じ愚問を投げかけては「ママ、ふざけないで!」と怒られます。
話がちょっと前後してしまいましたが、上記のようにもともと画家の身近な存在であったムーミントロールは、ついに一冊の本、『小さなトロールと大きな洪水』の主人公として、お話の中に生きるようになりました。今年はそのことを記念しての70周年……なんとも感慨深いものがあります。
以前にも書きましたが、トーベが現在ではフィンランドに5%しかいないというマイノリティー、スウェーデン系フィンランド人だったこともあって、ムーミンシリーズの原作は全てスウェーデン語で書かれています。それでもムーミンを「フィンランドの児童文学」と胸を張るフィンランド人のことをどう思うのかと、ムーミンキャラクターズ社のアートディレクターで、トーベの姪にあたるソフィア・ヤンソンさんにぶつけてみたことがあるのですが、彼女はちょっと驚いたような顔をしてこんなことを言っていました。「ムーミンはムーミンの世界の言葉で語られる物語なのだから、何語で書かれたお話かなんて関係ないですよ」と。この懐の深さには参りました。
ヘルシンキにある、元トーベの住居兼アトリエだったアパートにもお邪魔してきましたが、そこで印象深かったのはきちんとした台所が無い事でした。やかんとお鍋が一つずつ乗せられるぐらいの小さなキッチンストーブで、トーベは最低限の料理しかしなかったそうです。ソフィアさんによると、衣、食、住、の中で食に関しては、トーベは関心が最も薄かったのだとか。かっこいい人だったのですね。
というわけで、今年は“ムーミン”が主役なのですが、ついつい産みの母に思いを寄せてしまう私ですが、読者の皆様のために、この70周年をお祝いするムーミンイベントやNewアイテムをご紹介しましょう。
とりわけ、今一番HOTなのは、こちらのグッズ。ムーミン出版70周年記念マグ2015年1月8日(木)から、フィンランドの各ショップにて発売を開始しています。
他にも、日本で最大数のムーミングッズを取り扱う、株式会社POSからは、こんな可愛らしいスノードームが販売されるようです。
イベントとしては、昨年に引き続きムーミン展が、今年は九州からスタートしていますね。「MOOMIN!ムーミン展」 宮崎 2015年1月2日(金)~2月15日(日)
他にも、2つのムーミン映画の上映が予定されています。映画:『劇場版ムーミン谷の彗星』@「トーキョーノーザンライツフェスティバル2015」
2月9日(月)14:00~、2月11日(水)11:30~(それぞれ75分)
映画:『劇業版ムーミン南の島で楽しいバカンス』2015年2月13日(金)
また、私のように、原作者トーベ・ヤンソンについて、もっと掘り下げてみたい人には、
「トーベ・ヤンソン展~ムーミンと生きる~」が、現在、北海道の道立帯広美術館にて開催中ですね。(2015年2月15日(日)まで、その次は、新潟県立万代島美術館で2月28日(土)から5月6(水))
あるいは、『ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン』(河出書房新社)という書籍が、昨年9月より発売されていますので、こちらをじっくり読まれてみても。
こちらの翻訳は、かつて共著の執筆をご一緒させていただいたセルボ貴子さんが手掛けておられます。A5版で376ページと……とても読み応えがありそうですね。私も是非拝読させていただいて、見識を深めてみたいです。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309206585/
それでは皆様、今年もムーミンの年、フィンランドの年ということで、盛り上がって参りましょう。よろしくどうぞお願いいたします!
画像: All things Moomin https://www.moomin.com/ja