靴家さちこ
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フィンランド在住フリーライターの靴家さちこです。フィンランドではサマータイムも終了し、冬に向かってまっしぐらです。が、今年は“例外的に”暖かい11月という予報で、外気がなんと14℃(マイナスではなくプラス!)という日がありました。
それでも日照時間は12月の冬至に向けて、駆け足で短くなってきており、暗さは例年通りです。というわけで今回は、もう来月にやってくるクリスマスに向けて、フィンランドの子ども達が楽しみにしているアドベントカレンダー、「ヨウルカレンテリ(Joulukalenteri)」の話題をお届けします。
近年日本でも「アドベント」という言葉が普及し、クリスマスは24日のイブと25日だけのイベントではないとういことが知られてきていますね。
フィンランドでは、そのアドベント(=クリスマスを待つ期間)に12月1日から毎日一つずつ扉を開くヨウルカレンテリも、クリスマスプレゼントと同様に子ども達にとって大切なものです。保育園や学校では、今年の僕の/私のヨウルカレンテリはこんなのだあんなのだという話題で持ちきりになります。
ヨウルカレンテリには、1から24までの数字が書かれた厚紙の扉の中に、クリスマスのプレゼントや天使の絵が描いてあるベーシックなタイプから、扉の中にチョコレートやおもちゃが入っているものまで様々な種類があります。
その中から大人達が、今年はどれにしようか、チョコレートを毎日食べさせたら虫歯にならないか、贅沢過ぎないか、質素過ぎないかと考えながら買い与えます。子ども達の間で人気は、日本でもおなじみの、中におまけのおもちゃが入っている「キンダーズサプライズ」のチョコレートのものや、ディズニーキャラクターがあしらわれたもの、あるいは、レーゴ(LEGO)の小さなおもちゃのパーツが入っているものなどです。
クリスマスの伝統がバックグランドにあるだけに、チョコレート入りが動かしがたい定番ですが、近年ではそれ以外にもグミやキャンディーなどお菓子が入っているもの、虫歯の心配が無用なキシリトールが入っているものもあります。
昨年にいたっては、初めて店頭でサルミアッキ入りのヨウルカレンテリを見つけました。サルミアッキとは、世界一不味いことで名高いあの黒いキャンディーです。さすがのフィンランド人でも小さい頃はまだあの独特の匂いと味が苦手な子もいるので、小学生高学年以上用ではないでしょうか。サルミアッキ、恐るべしです。
さてこのヨウルカレンテリは11月に入ると早速スーパーなどの大型店で山積みに売られますが、実はその先頭を切っているのが、Martinex社製のムーミンキャラクターのフィギュア入りヨウルカレンテリです。
このヨウルカレンテリは、箱のデザインと中身のキャラクターが毎年変わるので、ムーミンファンはもちろん、コレクターが喜んで飛びつく人気商品です。
今年のデザインの発表は既に9月にあり、早くも10月初旬はセールがあり、ネットショップで売り出された定価より7~9ユーロもお得な商品は、数時間のうちに在庫切れになりました。
ムーミンが好きな子ども達の為に張り切って買う人もいるのでしょうが、いわゆる「大人買い」やネットオークションでの販売用に購入する人もいるようです。
このように店頭販売されるヨウルカレンテリもありますが、もっと伝統を重んじる家庭では、自分の子ども時代から使っている、あるいは代々引き継がれてきた布製のタペストリーのようなヨウルカレンテリや、小さな引き出しがついた木製のものなどが使われています。
手芸や工作が好きな人は、布や箱や厚紙などを使って、オリジナルを作ってしまいます。ポケットや引き出しの中に何を入れるかは、大人たちが創意工夫をして、おもちゃだったりチョコレートだったりクッキーだったり。
毎朝このサプライズを楽しみに起きてくる子ども達の顔を頭に思い描きながら、せっせとラッピングして用意します。
ヨウルカレンテリは子どもだけのものではありません。
幼少の頃に親から与えられたものを部屋のデコレーションとして飾ったり、大切な人へのサプライズにプレゼントを入れて用意してあげてみたり。幼少時代のノスタルジーに浸るも良し、この季節限定の愛情表現に使ってみても良しですね。
また既に廃盤になってしまいましたが、marimekkoの布製のヨウルカレンテリは、ファンなら必ず持っているものですし、be&livという気鋭のデザインブランドでは、ツリーと兼用の大人向けのヨウルカレンテリも作っています。
このように、「デザインの国」の側面も垣間見られるヨウルカレンテリ。
良いですねぇ……。私も自分専用が欲しくなってきました。
それではみなさん、Hyvää päivän jatkoa(今日も良い一日を)!