靴家さちこ
サンタクロース村メルマガ読者の皆様、モイ!フィンランド在住フリーライターの靴家さちこです。12月になりましたね。フィンランド語で「Joulukuu(ヨウルクー)」、すなわち「クリスマスの(Joulu)月(kuu)」がやってきました。もうすでに街はクリスマスの電飾で彩られ、子ども達はアドベントカレンダーの扉を開けはじめ、「Pikku Joulu (ピックヨウル=小さなクリスマス)」と呼ばれる忘年会もあちこちで開かれています。というわけで今回は、このクリスマス本番の季節に人々が贈り合う特別なコーヒー、「ヨウルカハヴィ(Joulukahvi)」の話題をお届けします。
突然ですが、フィンランドが「コーヒーの個人消費量が世界一」の国だと聞いたことがありますか?実際にフィンランド人は良くコーヒーを飲み、朝起きぬけの一杯、職場での仕事始に一杯、ランチの後に、午後のおやつと絶え間なく飲む人がいます。週末や余暇に親戚の家や友人の家を訪ねても、おしゃべりしながら自然に手が伸びて、2杯目、3杯目とコーヒーが進むことも珍しくはありません。
ちなみに国際コーヒー協会(ICO)の統計によると、フィンランドでは年間一人当たり12kgものコーヒー豆を消費しており、イタリアの5.7kgやスペインの4.5kgを上回ります。しかし、なんと年間24kgとフィンランドの2倍も消費するルクセンブルグにトップの座をあけわたしました。このニュースは、2014年10月の国営放送で「愛するコーヒー――フィンランドではもうたくさん飲み過ぎて、これ以上飲めない」と題して報じられていました。
それにしても「何故そんなにたくさん飲むのか」、この疑問に対しては今までは「戦時中の貧しくてタンポポの代用コーヒーしか飲めなかった時代の反動」「浅煎りローストが主流で、クリームではなく牛乳を入れて飲むので、軽くて何倍でも飲める」などと説明されてきましたが、上記のニュース記事ではそれに加えて「コーヒー一杯の値段の安さ」もあげられていました。フィンランドでは一杯のコーヒーの平均価格は、ひとさじ7gで換算するとわずか5.75セント(約7.8円)になるのだそうです。安いですよね。
値段はさておき、フィンランドコーヒーの魅力はなんといっても、あっさり軽めの浅煎りローストです。近年深煎りも、そのやわらかさが見直されて良く飲まれるようになりましたが、浅煎りは水質がそのまま味に影響するのだそうで、水が美味しいフィンランドにぴったりだというのもよく知られている事実です。そしてそのコーヒーにも、この12月にだけ期間限定で味わう「ヨウルカハヴィ」というものがあります。日本でも福岡に出店しているロバーツコーヒー(Robert’s Coffee)を筆頭に、陶器デザインブランドのペンティック(PENTIK)からも香り高い贈答用のコーヒーが売りに出されます。さらにロバーツコーヒーといえば、毎年登場する、期間限定のムーミンウィンターコーヒーも見逃せません。
ところで「クリスマスコーヒー」って、普通のコーヒーと何が違うのでしょう?これは一言でいうと「香り」です。シナモンやカルダモンやグローブなど、フィンランドのクリスマス特有のハーブで香りづけしてあるのです。そしてこれらのスパイシーなハーブの効能も加わって、飲むとほかほか体が温まります。コーヒー党が圧倒多数を占めるこの国ですが、お茶だって、同じ香りが付いたクリスマスバージョンの「ヨウルテー(Joulutee)」もありますよ。
えー、読むだけじゃ香りなんかわからない!という皆さんの為に、クリスマスプレゼント、ヨウルカハヴィのレシピを紹介しますね。どうぞご自宅や各イベントなどで、大切な人達と年末年始のせわしさをしばし忘れて味わってみて下さい。それではHyvää joulua(メリークリスマス)!
【ヨウルカハヴィ(クリスマスコーヒー)の作り方】
【材料】(4~5人分)
水5㎗
コーヒー粉 コーヒー用計量スプーンで5杯
シナモン(粉) 小さじ1/2
カルダモン(粉) 小さじ1/2
(お好みでグローブも1~3粒ほど)
ホイップクリーム 適量
お砂糖 適量
バニラエッセンス 適量
【作り方】
コーヒーメーカーのフィルターに粉類を入れて、分量通りの水をセットし、通常通りにコーヒーを淹れる。
出来上がったコーヒーに、お好みの甘さのホイップクリーム(お好みでバニラエッセンスも加える)をのせて出来上がり。クリスマス期間限定の贅沢な味をお楽しみ下さい。
※ヨウルテー(クリスマスティー)を試してみたい方は、お茶パックに紅茶とシナモン、カルダモンとグローブを入れて香り付けするだけです。とっても簡単ですよ!