サンタクロース村<サンタクロースからの手紙>

サンタクロース村通信

楽しみ?大変?何それ? フィンランドの「秋休み」事情

靴家さちこ

kutuke-1日の出、日の入りが毎日早くなり、街の灯りがロマンチックなヘルシンキ(画像:Visit Helsinki)

サンタクロース村メルマガ読者の皆様、Moi!フィンランド在住ライターの靴家さちこです。10月中旬だというのに初雪が降りました。気温ももちろん氷点下。北国に住んでいるので「そう来たか」ぐらいの気持ちでしたが、朝7時にカーテンを開けたら真っ暗だったので、思わず閉めてしまいました。12年も暮らしていれば、冬の到来も当たり前のことなのですが、何年経っても来るときは突然です。このように、実質もうほとんど冬なのですが、10月の第3週目(地方によっては第4週目)はなんと「秋休み」で、学校や保育園はお休みです。今回は、その秋休みについてお話しましょう。

ご存知フィンランドでは学校の夏休みが10週間もあります。それだけたっぷり休んだらもう次はクリスマス休みでいいのでは?と思いきや、なんと「秋休み」などというものが一週間もあるのです。これは、この季節には子供達が学校を休んで親の畑仕事の手伝いをしていたという、北欧及び他のヨーロッパ諸国に残る風習の名残で、現在では本来必要がないものなのだそうですが、新学期が始まってちょうど2か月経つ頃なので、夏休み以降、学校や保育園の新しい環境でがんばり続けてきた子供達には、ほっと一息つける、ちょうどいい休憩になります。

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↑大きな黄色いカエデの葉が、街をおしゃれにドレスアップ(画像:Visit Helsinki)

←オレンジ色は葉っぱだけではない。夕暮れ色のヘルシンキの街並み(画像:Visit Helsinki)

 

 

実は私も、住み始めた当初はこんな休みがあることなど知らず、長男が保育園に行くようになってからその存在に気が付きました。といいますのもこの休みは法律で、保育園と学校に対してだけ決められた、授業(保育)日数に対して割り当てられているお休みなので、学校や保育園に通う子供がいない家庭にはあまり関係がないのです。もちろん、小さい子持ちの親たちは、この季節に合わせて有給を取って会社を休みます。そして、この暗さが差し迫った季節だからこそ、スペインやカナリヤ諸島などの南へ旅に出かけるのです。

161020-0003 写真左:白樺も静かに葉っぱを落とし始める頃(画像:Visit Helsinki) 写真右:森の中に足を踏み入れれば、そこはもう、黄色いじゅうたん(画像:Visit Helsinki)

kutuke-6暗さ寒さを逃れて、いざ南方へ!という人たちが押しかけるヘルシンキ=ヴァンター空港(画像:Visit Helsinki)

とはいっても、全ての人がそんなに気楽に海外旅行に出かけられるわけではありません。インターネットで「Syysyloma(秋休み)」と検索すると、「今年の秋休みはいつ?」「秋休みに子供達と何をする?」といった項目がずらずらっと上がってきます。そこで昨年の国営放送ニュース(YLE)がお勧めにあげた項目が何かといいますと……「森で散歩」「日帰りで国内旅行」「水泳」「動物ふれあい牧場」「ボードゲーム」「焼き菓子作り」「図書館」「親戚」「動物園」「遊園地」などなど。これがお金を使うテーマパークやにぎやかなイベントの数々ではないところが、なんともフィンランド的です。

ちなみに最後の「遊園地」というのは実にスペシャルです。このような気候の国ですので、遊園地とは晩春から夏にかけてのみ開園するものなのですが、この秋休み期間中だけ、逆に暗い時期であることを逆手にとって、ヘルシンキのリンナンマキ遊園地では、イルミネーションをともなって期間限定オープンします。この幻想的で美しいことといったら、しばし寒さも忘れてはしゃいでしまいます。161020-0001写真上/左下:ヘルシンキのリンナンマキ遊園地で秋休み期間限定で開催される「光のカーニバル」(画像:Visit Helsinki)写真右下:国営放送ニュースお勧めの動物園。長男が3年生の時に夫と出かけてみたら、ほとんどの動物が冬眠体制に入っていたとか(画像:Visit Helsinki)

美しいといえば、フィンランドの紅葉も黄色にオレンジに赤と、朝晩の激しい気温差が作用してそれはそれは美しい紅葉が見られるのですが、この秋休みが始まる頃には白樺など残る葉ももうわずかで、いよいよ晩秋というたたずまいです。雨もたくさん降って、ぬれ落ち葉でぐじゃぐじゃになってきます。こんなふうに身も心もみじめになってくる頃に、休めるなんてありがたいことこの上ないです。秋休みは北国に住む万人に必要だ!と叫びたいところです。……が、先日フリーランスで仕事をされている方に「秋休みはいつからですか?」と聞いたところ「そんなものありませんよ」と苦笑されてしまいました。といっても、その方はもっと秋が深まってきてから、ゆっくりアジア方面に行かれるそうですが。

161020-0002写真左上:黄色が空にそびえるトゥースラの白樺並木  写真右上:民家の塀を真っ赤に染めるツタの葉  写真左下:午前9時の朝陽。真横から差し込んでくる  写真右下:初霜。黄色や茶色の葉っぱが白く薄化粧をする朝

kutuke-13霜が降りた朝。車通勤の人々が、少し早起きして窓ガラスの霜取りを始める季節の到来

かくいう私は、この秋休み中に、次男と一緒にほんのちょっと南のデンマークに行って参ります。長男はボウリング大会に出場する関係で、夫とお留守番です。このようにスポーツ関係の習い事をしている子供達は、秋休み中に遠征があったりと、誰でも彼でもゆっくり休めるわけでは無く、運悪く両親とも休みが取れずに家でお留守番というお子さんもいます。休めたものの、家族で行く宛がなく家にいることにした家庭では、子供達が、クラスの同級生や近所の子供達となんとか遊べる時間を確保しようと奔走しているところでしょう。そんなフィンランドの日常から離れて、言葉も食べ物も違う近隣の北欧国で、たっぷりリフレッシュして参ります。というわけで、今回は自分自身に向けて言います。「Hyvää matkaa(ヒュヴァー・マッカー=良い旅を)!」と。

kutuke-15すでに落とす葉もなくなった白樺。あでやかな紅葉の季節が終わると、世界が色を失い始める

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