サンタクロース事務局

サンタクロース村通信

日本とフィンランドの幼稚・保育園比べ

サンタクロース村メールマガジン読者の皆様、Moi(こんにちは)!フィンランド在住ライターの靴家さちこと申します。

フィンランドではヘルシンキから35キロのところにあるトゥースラに、夫と10歳と6歳の息子達と暮らしています。ご縁があって、サンタクロースの国フィンランドから旬な話題を発信させていただいております。

今回は、毎年恒例の日本への里帰り後ということもありまして、「日本とフィンランドの幼稚・保育園の違い」についてお届けします。

一日中わくわくし続けて疲れてしまった次男
【17時20分発の飛行機の中で。一日中わくわくし続けて疲れてしまった次男。】

30数年ぶりに日本の幼稚園にお邪魔してきました。私も子どもの頃には日本の幼稚園に通ったのですが、今どきの日本の教育現場にはとても興味があります。半分日本人である息子達にも、少しでも多く日本の日常を見せたいという気持ちから、一昨年長男には日本の小学校に体験入学をさせました。今回は6歳の次男を中心に、長男と三人で、甥が通う埼玉県の幼稚園の「夕涼み会」に潜入させてもらいました。

ここまで読んで「もう6歳なら小学生なのでは?」と思われた方は鋭いです。フィンランドでは7歳児就学なので、日本の子ども達より一年遅れて入学します。そして6歳児は就学前教育が行われる「エシコウル(プリスクール)」に通います。エシコウルは給食も込で無料、フィンランドでは7割以上の児童が通います。次男は、ちょうど夏休み前に保育園の年長組を終えたばかりで、8月からプリスクールに行くことが決まっていました。

 胸を躍らせながら園の中に入ると、若い先生方が浴衣姿で来場者を出迎えていました。そのほとんどが未婚らしく、育児中にはみえない若さであるところが、私の目にとても日本らしく見えました。フィンランドにも若い先生は多いですが、未婚、既婚、子持ち、大きな子持ちに園長先生と、もっと幅広い年齢層の先生がいます。

 さらに、私の日本人の眼には、副園長先生、園長先生という年齢差も伴うヒエラルキーもくっきり見えました。フィンランドの保育園では、最年長が園長先生とは限らず、このようなイベントの際でも表に出てこない園長先生もいるので、子どもに何か問題が起こってから初めて知るような存在だったりします。

それにしてもフィンランドとの違いを実感したのが、園庭で上演された先生方の野外劇。日本の先生方は、ばっちりセリフを暗記して何回もの練習を重ねた演技の賜物という感じで、フィンランドの先生方の恥ずかしそうに照れ笑いしながらやるものよりも完成度が高い。園児の演技や歌などでもそうなのですが、フィンランドでもよく先生方が「子ども達は一生懸命練習しました」と教えてくれるのですが、この「一生懸命」の度合が、フィンランドではとても「ゆるい」のです。

甥が通う、森の幼稚園の夕涼み会
【甥が通う、森の幼稚園の夕涼み会。長男も次男も輪投げがお気に召した模様。】

先生方だけではありません。園児の為に塗り絵や輪投げなどの各種ゲームとその賞品に至るまでを用意し、小学生のお兄ちゃんやお姉ちゃんに進行係を手伝わせるお母さん達。ペットボトルや空き缶のふたなどで作った賞品と、それを作るのに費やした時間などを考えると、頭が下がる思いでした。

70年代から7割の家庭が共働きというフィンランドでは、そこまでの労力を提供してくれる父兄はいません。一方、このイベントの開会時間は平日の午後15時。お父さん方の参加は期待されていないような時間帯でしたが、3人ほど射的のようなゲームを提供してくれていたお父さん方がいて、「日本の現代」を見た気がしました。

さらにこの幼稚園、実は森があるということは事前に姉からも聞いていたのですが、園庭の反対側には、ひろびろと広がる原っぱとうっそうと茂った森がありました。慣れた様子で木登りをする子ども達に、息子たちもつられて木登りを満喫。「僕が行ってた保育園にも森があったけど、こっちの方が大きいね」と驚く長男。さらに言うなら、次男の保育園には森などありません。自然豊かなイメージがある北欧ですが、どこでも恵まれているわけではないのです。

姉はこの自然豊かなところが気に入って、数ある中からこの園を希望したそうですが、フィンランドではヘルシンキでもない限りそれほど園に違いや特長が無いので、最寄りの保育園に入れるケースがほとんどです。日本とは情報収集力や経済力によって、子ども達により良い教育環境が与えられる可能性がある国だということも、改めて認識させられました。

はじめはこわごわ園庭の隅っこで傍観していた息子達でしたが、いつの間にやら園庭を駆け回り、ふかしいもやトウモロコシまでご馳走になって、すっかり日本の幼稚園を楽しんだ様子。次回は、長男は6年生の教室に、次男は甥っ子のクラスに一日潜入させてもらいたいなぁなどと思っています。

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