サンタクロース村<サンタクロースからの手紙>

サンタクロース村通信

まだまだ熱い?!

フィンランド教育へのまなざし

靴家さちこ

サンタクロース村メルマガ読者の皆様、Moi!フィンランド在住ライターの靴家さちこです。長らくご無沙汰しておりました。もう5月ですね。さすがのフィンランドも春です。地球の温暖化の影響か、草花の成長が例年より早く、なんと4月下旬からもう桜と、母の日に森でつんで贈るヴァルコヴオッコ(valkovuokko=ヤブイチゲ)の白い花まで咲いています。フィンランドではこのような春爛漫の5月の末に卒業もしくは学年末を迎え、夏休みに突入します。この一年の中で最高の季節に学校など行っている場合じゃないのです。太陽の光を思い切り楽しまないと。

さて卒業といえば、私事ですが、私も卒業しました。2年かけて通ったラヒホイタヤ(福祉の総合資格)コースを。今年2月に修了し、現在派遣で保育士の仕事をしております。そうするかたわら、教育視察コーディネーターとしても活動しております。これがまた、以前から学業の合間をぬってお引き受けしていた保育園や学校視察のお申し込みやお問い合わせが、一昨年から昨年、昨年から今年と、またぐんぐんと増えてきているからすごいです。

2000年にPISAテスト(OECDが主催する学習成熟度調査)で「世界一」の成績を収め、そのあと十数年にわたって欧州で唯一の国として上位に居続けているフィンランド。アジア諸国に追い抜かれ「世界一」の座は奪われましたが、にも関わらず日本および世界各国からのフィンランド詣では減ることはなく、むしろ増えている。その理由は一体何なのでしょうか?

理由の一つは、2016年に実施された10年に一度の教育改革。これに尽きるでしょう。10年ごとに見直される教育方針をベースに行われる改定なだけに、10年分の未来を見越して、新しいカリキュラムはグループ学習、プログラミング教育や起業家精神などに狙いが定められました。

とりわけ2016年当時は世界初、プログラミング教育を小学校のカリキュラムに導入したことで大きな注目を集めましたが、フィンランドの教育エキスパートたちは、目まぐるしい時代の変化や来るAI時代にも着目し、「今の職業が将来の職業になる保証がない」と結論付け、大企業にたよらない生き方、つまり起業家精神を子ども達に提供しています。人口が550万人と、北海道ぐらいしかいないフィンランドでは、そうでなくても生きていくうえで非常に重要なマインドです。

授業にグループ学習が多く取り入られていれるのも、パソコンからタブレット、スマートフォンと、「個人」で完結する時間過ごすことが多くなった現代の子ども達の将来を見すえて、あえて他人と協力し、人とコミュニケーションをするスキルの重要さに着目したからです。この取り組みは、学校全体が各教室の机や椅子をグループ学習がしやすい学校家具に買い替えるなど、具体的に目に見える形で実現し、全国的に展開されています。

しかし――2003年のPISAで世界一に輝いたときには、確かフィンランドは近隣の北欧諸国からも「先生に権威があり、昔ながらの教壇の上からの指示が机に届く授業をしている」「奇をてらわない基本をしっかり積み重ねている」ことで評価され、それが学力世界一の秘訣とさえ断じられていました。それなのにあえて路線を変えてしまったのはなぜか、と――ある視察訪問先の小学校の校長先生に疑問をぶつけたところ、先生が何とおっしゃったと思いますか?

「競争で世界一になるための教育ではなく、子ども達の未来に役立つ教育を重視したまでです」

――シビレました。視察訪問が増加している理由の二つ目にも通じるものがあると思うのですが、フィンランドは国連の「世界幸福ランキング」で二年連続世界一にランクインしていること。これは大きいです。北のはずれの北欧国の何が一体幸せなのだろうと、フィンランドをのぞきに来る人がいれば、こう言って差し上げても過言ではないでしょう。「子ども達の未来を真剣に考えて実践する国が幸福でなくてどこが幸福なのか」と。

このようなシビレる体験を、日本の皆さまともっともっと共有したく、私は今、フィンランドの教育施設を親子で訪問し、自然とのふれあいを通してフィンランドを体感するショートステイプログラムを、日本の有志達と一緒にたちあげているところです。今秋の実施に向けてまずは幼児教育から、5月末に実地研修でお世話になった懐かしの保育園に日本人親子さんと一緒に訪問して参ります。フィンランドの幼児教育の現場に飛び込みつつ、フィンランドの子ども達にも日本文化を紹介して、グローバルな体験を共有します。今年2019年は、日フィン外交関係樹立100周年という記念年なので、気分はまさにミニ親善大使、になるでしょうか。

6月にはなんと、その訪問体験談とフィンランドの世界一やさしい幼児教育に関して、日本でトークイベントを&ワークショップを開催いたします。というわけで皆様「Nähdään silloin(ナハダーン・シッロイン=その時にお会いしましょう)! 」

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