サンタクロース村<サンタクロースからの手紙>

サンタクロース村通信

フィンランドの春の祭典ヴァップ(メーデー)

サンタクロース村メールマガジン読者の皆様、Moi(こんにちは)!フィンランド在住ライターの靴家さちこと申します。

フィンランドではヘルシンキから35キロのところにあるトゥースラに、フィンランド人の夫と10歳と6歳の息子達と暮らしています。ご縁があって、サンタクロースの国フィンランドから旬な話題を発信させていただいております。

 さて今回は、フィンランドで4番目に盛大にお祝いされる5月の祝日「メーデー」についてご紹介します。まずメーデーといえば「労働者の日」を思い起こされる方が多いかと思いますが、歴史的にはもっと古く、古代ローマに由来する祭日です。ヨーロッパ各地で5月1日に豊穣の女神に供物を捧げ、夏の豊穣を祈るお祭りとして始まったものが、現在では単に春の訪れを祝う日として定着しているのだそうです。

ヴァップの日のハヴィス・アマンダ像
「ヴァップの日のハヴィス・アマンダ像/ヘルシンキ政府観光局提供」

また近年メーデーは「労働者の日」として、一致団結して権利の要求を行ってきた労働者側が使用者側と休戦し、労使双方で共に祝う祝日にもなりました。この起源は、合衆国カナダ職能労働組合連盟が、シカゴを中心に8時間労働制要求の統一ストライキを行った1886年5月1日にさかのぼります。当時は1日12~14時間労働が当たり前だったというのですから、そこから闘い抜いての今日があるということですよね。

さらにこの前日の4月30日の夜は、中央ヨーロッパや北欧では、古代ケルト時代には「ヴァルプルギスの夜」と呼ばれる、魔女たちが夜宴を行う日でもありました。というように、新旧大陸の過去と歴史を織り交ぜて盛りだくさんの二日間なわけですが、フィンランドでは4月30日は「ヴァップアート(=ヴァップのイヴ)」と呼ばれ、その前夜祭としてカレンダーに記されますが、一応平日です。

大人も子ども達も、翌日の祝日ムードに押されて気もそぞろで学校や職場に行きますが、保育園や学校ではヴァップパーティーが催されるところもあり、うちの長男は学校のパーティーとディスコに、次男は仮装して保育園のパーティーに参加しました。ちなみにこの仮装とは4月30日の魔女の宴が由来なのか、春だというのに骨やらお化けやら怖いモノ系が多いです。

仮装の次に大事なのは風船です。ヴァップは子ども達にとってヘリウムガス入りの立派な風船が買ってもらえる年に一度のチャンスです。このシーズン、スーパーでは風船の特設コーナーができており、下手に子どもを連れて行くとねだられて大変なことになります。

さらに4月30日と5月1日には大きな町ではトリ(マーケット)が開かれ、そこで風船を買うこともできます。が、なんと10ユーロ(約1420円)もするので、我が家では数ユーロ安いスーパーで買うことにしています。それはなかなか大きなお買いものなので、子どもがいる家庭では今年はどんな風船を買うかというのが大きな話題になります。

さらにヴァップの日には、セルベッティーニという色とりどりの紙テープや風船で家の飾りつけもします。子ども達は家でも好きなように仮装して、ラッパを吹いて春気分で浮かれます。大人は仮装はしませんが、高校以上の高等教育機関を卒業している人は、卒業式に授与された白い学帽をかぶります。子ども達中心の生活をしている私たちは、家で紙テープと風船まみれになっておりますが、街には学帽をかぶってパーティーに出かける人々も見かけます。ヘルシンキや主要都市では、この日にピクニックに出かけることを恒例としている家庭も多いです。

私どもはピクニックは……しません。その理由の一つは、お天気がそれほど良くないからです。もちろんお天気に恵まれる年もあるのですが、晴れていても風が冷たかったり、それだけならまだ良い方で、雨やみぞれ、ひどいと雪まで降る年があります。今年はトゥースラには雨が降りましたが、西のトゥルクでは降雪に見舞われていました。

私が知る限りでは、ピクニックまでちゃんとやっているのは……ヘルシンキなど都会の人達だけです。私たちはテレビのニュースでヘルシンキっ子がシャンパングラスを重ねて乾杯している様子を見ます。さらにニュースで毎年報じられるのは、ヘルシンキのマーケット広場の噴水にあるハヴィス・アマンダ像をブラシで掃除する大学生達です。これもまた大学生の伝統なのだそうで、シャンパンを飲んでほろ酔いの学生達は、それぞれ学帽にハーラリというつなぎ服を着用して実に楽しそうです。

またこの日は、ヘルシンキや主要都市で各政党の党首が演説もし、「労働者の日」らしいこともちゃんととします。今年もその様子がニュースで報じられましたが、不況が厳しい今年のメーデーには、一部の政治家の演説が妨害されたり、過激な反政府デモを行った若者10名が逮捕されたりと物騒な一幕もありました。

ところで、このメーデーを祝うご馳走は、リハプッラ(ミートボール)にナッキ(ソーセージ)とペルナサラーッティ(ポテトサラダ)です。リハプッラとナッキはそうでなくても一年中いつでも出てくる食べ物なのですが、ペルナサラーッティは小さな角切りの茹でじゃがいもに、みじん切りの玉葱とピクルスにあっさり系のマヨネーズが和えてあるので、春をお祝いするのにぴったりの爽やかな味わいです。

飲み物には、先のシャンパン以外にもシマという名の炭酸飲料があります。レモン果汁とイーストとお砂糖さえあれば簡単にできる飲み物なので、これを自家醸造する人も多いです。アルコール度も0.5%ほどと微量ですが、近年ではスーパーでノンアルコールのものも売られています。

おやつにはムンッキ(ドーナツ)にティッパレイパ(揚げ菓子)。このムンッキにカルダモンで香りづけされているのが北欧らしいですが、ティッパレイパという極太のかた焼きそばの塊のようなお菓子は、そのぐちゃぐちゃの形状が脳みそのように見えることからソーシャルメディアでも話題になりました。味は素朴でパリパリポリポリとほんのり甘くて美味しいです。

全体的にお肉が多めで揚げ物も多く、ちょっとお腹にはしんどいですが、労働者の一人として、ちょっと休憩して春を祝うのにはぴったりなメニューかなという気がします。日本の皆さんもゴールデンウィークを満喫されましたか?それでは、ヒュヴァー・ヴァップア(良いメーデーを)!

【シマの作り方】
【材料】
水 4リットル 、黒砂糖250グラム、砂糖250グラム レモン 1~1個半
ドライイースト 小さじ5分の1 、レーズン少々

【作り方】
1)4リットルの水を沸騰させてから火を止め、砂糖を加えます。

2)粗熱が取れたらレモンの絞り汁とイーストを加えます(レモンのスライスを液体に浮かべみても良いですが、その場合にはレモンを良く洗ってください)。

3)こうしてできたものを1日放置し、ボトルに詰め替えます。ボトルには砂糖少々とレーズンを加えます。

※シマが発酵する際には圧力が生じますので、ボトルの蓋はきつく閉めすぎないようにして下さい。

4)ボトルを冷蔵庫に1週間、室温で3日間寝かすとシマができあがります。

5)レーズンが表面に浮き上がったら飲み頃です。再び冷蔵庫で冷やしていただきます。

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