サンタクロース事務局

サンタクロース村通信

物語の世界を本場で味わう「ムーミンワールド」

南西部の沖に浮かぶ島で癒される
図1

豊かな自然に囲まれたムーミンワールド

サンタクロース村メルマガ読者の皆様、モイ!フィンランド在住フリーライターの靴家さちこです。フィンランドはやっと雪がとけました!よく気をつけて見ると日陰に除けられて山積みになった雪が残っておりますが、ここまで来たらもう「見ないふり」です。チューリップもタンポポもまだですが、春は始まりました。

さて今回はそんなフィンランドから6月から開園の「ムーミンワールド」をご紹介しましょう。今年はムーミン本が出版されて70周年。それを祝して、フィンランド唯一のムーミンのテーマパーク「ムーミンワールド」でも特別イベントが用意されています。

ムーミンワールドは、南西部の小都市、ナーンタリにあります。ナーンタリは美しいリゾート地としても知られており、スカンジナビア最大級といわれる「ナーンタリスパホテル」や中世に建てられた石造りの「ナーンタリ教会」、フィンランド大統領の公式別荘「クルタランタ」などがあります。ムーミンワールドは北西の沖合に浮かぶに小さなカイロ島にあります。

図2あの物語のワンシーンを再現したスポットが盛りだくさん

私が初めてムーミンワールドに足を運んだのは、長男が3歳の時でした。カイロ島に続く長い木の橋を渡ると、森の中のチケット売り場の前では、子ども連れの家族がずらっと並んでいました。開園時間は10時だというのに、9時半から子ども達にニンジンをかじらせながら待っている一家も目に入り、並々ならぬ気合を感じました。

果たして売り場の窓口にたどり着き、腕に一日券を巻いて中に入ると、まさにそこは「ムーミン谷」。あの赤い屋根に青い壁のムーミン屋敷やスノークの仕事場にヘムレンの家など、どこかで見たことのある風景が現れます。

しかし、乗り物やアトラクションがあるわけではなく、物語通りに再現されている建物の中に自由に出入りするだけです。このテーマパークは、ムーミンの物語と同様に「家族との心地よい時間」「自然との共生」「友情」と「冒険」がテーマで、自然の中で、「ムーミンの世界」に触れ、想像力で遊ぶというものだからです。

フィンランドという国に興味をもったきっかけがムーミンではなく、絵本の読み聞かせでも「ムーミン」は夫任せで日本の昔話を中心に読んでいた私は、「ほら、あれがあのお話に出てきたあの場面だ」「あれが、誰それのうちだ」と夫と長男が盛り上がっているところに、すっかり置いていかれてしまいました。この失敗談から言えることは、「予習も大事だ」ということです。

しかしそんな私でも、さすがにキャラクターぐらいは全部把握しておりましたので、早速「お茶の時間よ!」と叫びながらやかんをもって駆け回るミィを見つけました。が、ミィやスナフキンなどの人間に近い風貌のキャラクターはかぶりものではなく、生の人が衣装を着てメイクをしているだけなのですね。おだんご頭に太い眉毛が描かれたミィを目前に、少し歯がゆく感じてしまいました。

図3物語の中ほど意地悪そうには見えないリトル・ミー

図4

黒いもじゃもじゃのスティンキー。これは怖い。

もっとわかりやすい着ぐるみは?と園内を見渡すと、ムーミンパパとフローレンスが現れました。「今よ!」と長男をけしかけ、カメラを構えました。「わぁームーミンだぁー!」「フローレンス!!」と群がる子ども達に一度ははじき出された長男を再び押し戻すと、フローレンスにギュッと飛びついた長男は「フローレンスはぼくのことが好きだね!」と叫びました。……嗚呼、なんて幸せな人なんでしょう!

夫はこの光景に少し驚いたそうです。普通のフィンランド人の子どもだったら被り物は絶対に怖いというのです。それはキャラクターにも寄るようで、長男はその後おまわりさんがスティンキーを捕まえて連行している場面を園内で目撃した時、とっさに目を背けていました。その後生まれて初めて被り物のムーミンに遭遇した次男も、相手がムーミンだというのにその場で「見ないふり」をしましたし、他にも多くの子ども達が怖がって泣いています。

図5シアターで上演されるムーミン劇もお見逃しなく!

上記の理由から中には入りませんでしたが、園内のシアターでは時間制でムーミン劇がフィンランド語とスウェーデン語で交互に上演されます。一応シアターの外から確認しましたが、中からはもくもくとスチームが湧きあがり、音楽がビンビンに流れてなかなかワイルドそうでした。これを観ていかなかったのは心残りでしたが、この素朴なアクティヴィティーに、着ぐるみが珍しくて泣き出す子ども達もまた可愛らしくて……すっかり癒されてしまいました。

ムーミンワールドは、今年は6月6日~8月9日まで、午前10時~午後6時まで毎日開園しています。今年の特別イベントは、なんと!あのムーミン屋敷の隣に、ムーミンが自分一人で家を建ててしまうのだそうです。自分の家ぐらい自分で建てられる、フィンランド人男子の意気込みを是非見てみたいですね。夏は都合がつかないとう皆さんには、フィンランドの冬休みに合わせて来年の2月20~28日まで「ウィンターマジック」というそり遊びを中心とした冬のオープニング期間もありますよ。その時だけ、ムーミン達は冬眠から目覚めているのだそうです。どうぞお見逃しなく!

図6スキー休み中なら冬眠から一時的に目覚めているムーミン一族にも会える!
ムーミンワールド公式HP
http://www.moominworld.fi/

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