サンタクロース村<サンタクロースからの手紙>

サンタクロース村通信

観光では物足りない、でも留学まではできない。 日本から「本当のフィンランド」を見に来るツアー

靴家さちこ

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サンタクロース村メルマガ読者の皆様、Moi!フィンランド在住ライターの靴家さちこです。フィンランドに秋が来ました。うろこ雲が空にたなびき、赤やオレンジや黄色の葉っぱが彩を添える季節が来ました!秋といえば「読書の秋」「勉強の秋」ですが、なんと日本からはるばるフィンランドの教育現場をのぞきに「かもめ大学スタディツアー」という視察団が来ました。2014年に始まった同ツアーはこれで4回目ですが、これがもう、私も毎回訪問を楽しみにしている、実にユニークなツアーです。今回はこの不思議な視察団をご紹介します。

まずこの高坂翔輔さんが何者かといいますと、彼は大学で教育学を専攻していた 元塾講師で 、現在「ラーニングプランナー」として活躍し、あらゆる人に学びの機会を提供する「かもめ大学」の学長さんでもあります。この「かもめ」の三文字を見て「もしかして?」と思われた方はその通り。彼は映画『かもめ食堂』を観て、すっかりフィンランドに魅せられ、その「教育の国」には塾が無い、つまり彼の前職が存在しない国だという事実にガツーンと衝撃を受けた経緯を持つ人であります。

その高坂さん率いる「かもめ大学スタディツアー」とはどんな視察団なのかといいますと、これが「視察」といっても、参加者は公務や研究職の方たちではありません。フィンランドの教育に興味関心がある各方面の一般の方たちが参加するツアーです。「EDUCATION」をテーマにした今回のツアーには、学校の先生をはじめ、教育学部に通う大学生、これから先生になる予定の社会人、教育関係の企業に勤務されている方や、一般企業で社内教育を担当されている方たちなどが参加しました。

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160930-0003↑プロジェクターを使ってクラスのみんな の前で発表(画像提供:かもめ大学)

←2000年初頭にPISAテストで「世界一の 学力」を誇示したフィンランド(画像提  供:かもめ大学)

 

 

視察先は、公立小学校 、公立の小中一貫校、大学附属の教員養成実習校や大学のデザイン機関、ユースセンターに森の学校から一般家庭まで。普通の観光旅行ではまず周れないスポットばかりですし、実は在住者だって特別な用事が無ければ出入りできないような所ばかりです。これらの視察先各所には、ベテラン視察コーディネーターのヒルトゥネン久美子さんが、しっかりガイド通訳してくれます。さらにこの視察団は、ツアーの約一週間の間に、地元のフィンランド人さながらに熱々のサウナ入浴をし、素っ裸で湖にドボンと飛び込むところまで体験したというから本格的です。

早速参加者の皆さんから、このツアーに参加した感想をうかがってみますと……

「最高の理想郷。すごくお手本にしたいことがたくさんある。そして、改めて日本の教育の良さも見えました」「フィンランド人には権利がある。強く守られてる。大事なのは自分の意思。 幸福な国 と言われる理由が 少しだけ分かった気がしました」「フィンランドは、調和の国、心の平和の国。たくさんの木を抱きしめ、湖で泳ぎ、心をすっかり奪われました」 …… などなど。いやぁ、こんなに感動して楽しんでいただけると、在住者としても嬉しい限りです。

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少人数のクラスというだけでなく、より細かく班に分かれてのグループワークも多い(画像提供:かもめ大学)

ツアーの参加者だけでなく、高坂さんの目にも、新たな発見がたくさんあったそうです。今回のツアーでは、7年生(中1)の「ソーシャルメディアの使い方」をテーマとした国語の授業にも参加したそうですが、それは『これまで、インターネットを使ったいじめにはどのようなものがありましたか?』という先生からの、シンプルな問いからはじまりました。

高坂さんは、「日本でもフィンランドのことはたびたび話題になることがあるので、さぞかしすごい教育を行っているのだろう?と思ったツアー参加者にとっては、 その意外な“シンプルさ”は少し拍子抜けだったかもしれません」と語ります。しかし、逆に彼は、「これなら日本でも、学校でも家庭でも、再現できる!という強い確信というか、自信を持つこともできたそうです。

そしてその授業とは、一方的に教えるのではなく、問いを元に考え、他の人の答えを聞き、自分なりの「答え」を築いていくものでした。そのプロセスは、以前から高坂さん自身も教育の現場において大切だと考えていて、見事に一致したそうです。このように、発見するだけでなく、自分の考えを再確認する機会にもなるわけですね。

また高坂さんが日頃から考えている「現代における、生きる力とは何か?」という問いに対してもクリアな答えが出てきました。現段階の彼の答えは、『語学力』『経済力』『情報(ITを含む)力』『コミュニケーション能力』の4つ。そして、その4つの分野は、「今現在の日本の学校教育だけではなかなか身につかないけれど、フィンランドの学校では実践的に行われていて、かつ、身に付けることができるもの」だと分析しています。

160930-0005北欧デザインが生まれる創造の場もまた教育の現場。自分の才能を信じる若者たちが、厳しい現実とも向き合う(画像提供:かもめ大学)

160930-0006写真左:机の上の勉強だけでなく、現代における、生きる力もスキルの一つとして身に付けている (画像提供:かもめ大学)

写真右:一般家庭用の台所をそのまま再現しているフィンランドの家庭科室(画像提供:かもめ大学)

160930-0007ツアー参加者がいつも驚くのは、各教育施設にあるくつろげるスペース。教える方も学ぶ方も人として大事にされていることが実感できるインテリア (画像提供:かもめ大学)

そんな高坂さん主催のスタディツアーには、教育に対する何らかの課題意識を持っていて、それらの解決のヒントを求めて、本や資料だけではわからないフィンランドの実態を自分の目で確かめてみたい参加者が集まります。また、よくある観光のパッケージツアーでは物足りないけれど、留学となると時間や費用、語学力等の面で敷居が高いと感じている人たちも集まってきます。

ツアーはこれまでの3回も「教育」が主なテーマでしたが、1回目は「フィンランドの人たち」にフォーカスし、「どんな人たちが教育に携わっているのか?」に迫り、2回目は「自立・自律」をテーマに、個々を大切にし、異なる環境でも自ら学び生きる教育現場や、学校運営に積極的に参加する生徒たちを見学。3回目は「LIFE」をテーマとし、ゆりかごから墓場までフィンランド人が「自分の人生を生きる」現場に迫りました。

kutuke-10来たからにはしっかり学び、しっかり遊ぶ。現地の子ども達と遊ぶ高坂翔輔さん。(画像提供:かもめ大学)

今年はもう終わってしまいましたが、2017年もツアーは開催する予定だそうです。今後はもっとフィンランド人との交流を通して、生き方を考えられたり、森で何もせずに過ごしたり、「生まれるとは?」「生きるとは?」「亡くなるとは?」といった問いに対峙できる、「積極的に立ち止まって考える」機会や体験に フォーカスしていきたいそうです。こんな豊かなテーマのある旅、読者の皆さんもいかがですか?詳細は以下の公式サイトから。フィンランドでもお待ちしています。Tervetuloa!(テルヴェットゥオラー!=ようこそ)

【参考URL】

■かもめ大学スタディツアー公式サイトhttp://kamomedaigaku.com/finland

■かもめ大学公式Facebookページhttps://www.facebook.com/kamomedaigaku/

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