サンタクロース村<サンタクロースからの手紙>

サンタクロース村通信

文化祭気分でヘルシンキのデザインの祭典をはしご歩き



靴家さちこ

サンタクロース村メルマガ読者の皆様、Moi!フィンランド在住ライターの靴家さちこです。雨が多くて「今年の夏は最悪だった」という声が方々から聞こえるフィンランドですが、朝夕は12度前後と涼しく、日中には20度近くまで気温が上がり、長袖を羽織るすがすがしい初秋の気候となりました。そんなフィンランドでは、9月初旬に「ヘルシンキ・デザインウィーク」と「ハビターレ」という2大デザインイベントが開催されます。

ヘルシンキの街をデザインで埋め尽くす「ヘルシンキ・デザインウィーク」(@Aino Huovio HDW)

ヘルシンキの街をデザインで埋め尽くす「ヘルシンキ・デザインウィーク」(@Aino Huovio HDW)

芸術の秋、文化の秋を盛り上げる、両イベントをご紹介いたしましょう。

ヘルシンキ・デザインウィーク(HDW)

ヘルシンキ・デザインウィークは、2005年から恒例化した「北欧最大のデザインの祭典」です。毎年9月に開催され、ファッションやインテリア、建築、カルチャーやライフスタイルにいたるまで、様々なデザインが披露されます。

今年はストックマン前の街のシンボル「三人の鍛冶屋像」が、このような近未来的なデザインで覆われてしまいます!(提供:HDW)

今年はストックマン前の街のシンボル「三人の鍛冶屋像」が、このような近未来的なデザインで覆われてしまいます!(提供:HDW)

期間中は、展示会やファッションショー、セミナーにワークショップや子供の為のイベントなど、毎年200以上もの催し物が展開します。

左:ヘルシンキ・デザインウィークの一番人気、「デザインマーケット」(@Aino Huovio HDW) 右:「デザインマーケット」には、ユニークなデザイン製品を求めて、人々が押しかけます(@Aino Huovio HDW)

左:ヘルシンキ・デザインウィークの一番人気、「デザインマーケット」(@Aino Huovio HDW)
右:「デザインマーケット」には、ユニークなデザイン製品を求めて、人々が押しかけます(@Aino Huovio HDW)

今年は9月1日から11日までで、なんと今までで最大の250イベントが開催されます。テーマは、日本語で「より良い」という意味の「Paremmin(パレンミン)」。会場は、博物館や美術館からマーケット、セミナーホールからデザインショップにレストランに至るまで。多くのイベントが入場無料で、路上からも特別展示が見られます。まるで、ヘルシンキという街の文化祭に来ているような気分が味わえます。

ショールームからショールームを渡り歩く、「ショールームウォーク」(@Aino Huovio HDW)

ショールームからショールームを渡り歩く、「ショールームウォーク」(@Aino Huovio HDW)

 

まず「フィンランドのデザインの特徴を良く知らない、なじみが無い」という方は、デザイン・ミュージアムの常時展示「フィニッシュ・フォルム」で、簡単にフィンランドデザインの形や色の特色に目をなじませるといいでしょう。折よく、あの丸いボールチェアで世界的に有名なデザインの巨匠、エーロ・アールニオの特別展も開催されていますよ。

本イベントで一番人気があるのは、ヘルシンキのアーバンカルチャーの発信地である「カーペリテヘダス(Kaapelitehdas)」が開催地となる「デザインマーケット」です。こちらには毎年200もの出店があり、2万5千人もの訪問客が訪れます。ヘルシンキでこれだけの人が集まっているのを見るのも珍しいですし、ここは理屈抜きで、気軽に楽しめます。

他にも、建築の巨匠アルバ・アアルトが創立した老舗デザイン家具ブランド「アルテック」や日本でも有名な「マリメッコ」や「フィンレイソン」などのテキスタイル・ブランドのショップやショールームでも、期間限定の特別展示やイベントがあります。気鋭のデザイナーやアーティストの作品を展示しているギャラリー「ロカル(LOKAL)」では、アアルト大学の学生、つまりデザイナーの卵達とのコラボレーションの展示が見られますし、9月5日以降「国立図書館」では、今年の「ヤング・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたデザイナーの特別展示も公開されます。

気鋭のデザイナーやブランドが主催するファッションショーも!(@Aino Huovio HDW)

気鋭のデザイナーやブランドが主催するファッションショーも!(@Aino Huovio HDW)

また他にも、東京の建築事務所のアイディアが元となって発展、定着した「ペチャクチャナイト」というプレゼンテーションや、「サウナ・トークス」などという、サウナ発祥の国ならではの取り組みもあります。これらのイベントでもまた、ヘルシンキ市民の目線と一体化して、フィンランドらしいデザインを楽しむことができます。

左:北欧らしい、フィンランドらしいインテリアデザインの数々(提供:HDW) 右:毎日の生活をちょっと豊かにするシンプルなデザイン(提供:HDW)

左:北欧らしい、フィンランドらしいインテリアデザインの数々(提供:HDW)
右:毎日の生活をちょっと豊かにするシンプルなデザイン(提供:HDW)

デザインや建築業界の方には、招待された建築家だけが入場を許される「アーキテクチャーデイ」や、ヘルシンキ在住のクリエイターや建築家の仕事場が公開される「オープンスタジオ」というツアーもあり、事前登録して参加することができます。インテリアデザインに特化した「ショウルーム・ウォーク」というツアーもあります。このように、デザインを支える業界人が互いにインスピレーションを受けたり、新たな仕事のコネクションを見つけたりする場にもなっているのです。

美味しいものを食べながら、カフェやレストランとのデザインとの関わりを再認識するイベントも(@Aino Huovio HDW)

美味しいものを食べながら、カフェやレストランとのデザインとの関わりを再認識するイベントも(@Aino Huovio HDW)

ハビターレ(Habitare)

デザインウィーク中には、ヘルシンキのエキシビジョン・コンベンションセンターで「ハビターレ」という、フィンランド最大のインテリアデザイン見本市も同時開催されます。こちらは既に70年代からの歴史があるものですが、年々デザインウィークとのコラボレーションも深まり、一部のイベントや展示が両イベントで共有されています。

好評につき毎年恒例になった、子ども向けのワークショップ。レーゴブロックでヘルシンキの街をデザインします(@Aino Huovio HDW)

好評につき毎年恒例になった、子ども向けのワークショップ。レーゴブロックでヘルシンキの街をデザインします(@Aino Huovio HDW)

こちらは、今年は9月7日から11日までの開催で、より業界関係者やフェッショナル向けのイベントなのですが、それでもデザイン好きな一般のフィンランド人が、ここぞとばかりに押しかけます。そして本当に、自分の家のリフォームや新築を想定して、キッチンのタイルやら、サウナ施設に家具などを真剣に物色して、その場で買い付けてしまう夫婦や家族がいるので、フィンランド人のインテリアに対する意識の高さとカジュアルさに、ちょっと刺激を受けます

ヘルシンキ中央から約3.5キロ北のパシラ(Pasila)にある、メッスケスクス(Messukeskus =エキシビジョン・コンベンションセンター@Messukeskus)

ヘルシンキ中央から約3.5キロ北のパシラ(Pasila)にある、メッスケスクス(Messukeskus =エキシビジョン・コンベンションセンター@Messukeskus)

左:日本でも有名なテキスタイル・ブランド「ヨハンナ・グリクセン」のブース(Messukeskus / Habitare2015) 右:近年のハビターレでは、インテリアにより素敵に快適に緑を取り入れるアイディアが多くみられます(Messukeskus / Habitare2015)

左:日本でも有名なテキスタイル・ブランド「ヨハンナ・グリクセン」のブース(Messukeskus / Habitare2015)
右:近年のハビターレでは、インテリアにより素敵に快適に緑を取り入れるアイディアが多くみられます(Messukeskus / Habitare2015)

メイン会場での見どころは、若手や気鋭のデザイナー達の作品が厳選された「プロトショップ(Protoshop)」、そして、製品のフィンランドらしい特色から認定を受けたデザインブランドが結集する「デザイン・フロム・フィンランド(DESIGN FROM FINLAND )」のコーナーに、「ハビキッズ(Habi Kids)」という子供向けのコーナーなどです。前述の2コーナーでは、今年の最優秀作品が選出されますので、そこからフィンランドデザインの最先端を伺うことができます。後述のコーナーでは、同伴のお子さん達を遊ばせることもできますし、フィンランド人の子供達がどのようにしてデザインとの関係を築いて行くのか、それとなく観察してみると面白いですね。

左:今年の「プロトショップ」に出展される「シリンダー(Cylinder)という作品(Messukeskus / Habitare2016) 右:昨年はあの、ハッリ・コスキネンも会場に来ていた模様。一昨年はエエロ・アアルニオもぶらぶら歩いていました。有名デザイナーも気軽に出入りするイベントです(Messukeskus / Habitare2015)

左:今年の「プロトショップ」に出展される「シリンダー(Cylinder)という作品(Messukeskus / Habitare2016)
右:昨年はあの、ハッリ・コスキネンも会場に来ていた模様。一昨年はエエロ・アアルニオもぶらぶら歩いていました。有名デザイナーも気軽に出入りするイベントです(Messukeskus / Habitare2015)

ハビターレのメイン会場の他にも、メッスケスクス内には「アートヘルシンキ(ARTHELSINKI)」という、アートや「アンティーッキ(Antiikki)」という、アンティークやヴィンテージの専門のコーナーもあり、一日で全部を周りきるのはなかなか至難の技ですが、会場内には美味しいレストランやカフェもありますので、エネルギー補給をしながら夕方まで、のんびりデザイン三昧にひたることができます。

子ども達だって、デザインを楽しみたい。そんな願いも叶えてしまうデザイン見本市(Messukeskus / Habitare2015)

子ども達だって、デザインを楽しみたい。そんな願いも叶えてしまうデザイン見本市(Messukeskus / Habitare2015)

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デザインウィークといい、ハビターレといい、これらのおしゃれで高尚なイベントが、どこかゆるくて、なじみやすいのは、フィンランド人ののんびりした国民性が反映しているのではないでしょうか。フィンランド人は、デザイン、デザインと構え過ぎずに、まずは目に映るものを「自分が好きか嫌いか」「きれいだと思うか醜いと思うか」という、自分の意見を持つところからデザインとの関わりを持っているようです。

左「デザイン・フロム・フィンランド」のコーナーで話題の「イロア・ワン(ILOA One)」。フィンランドの学校で使われている、姿勢が正しく座れるデザイン・チェア(提供:myKolme Design) 右:おしゃれなカフェやレストランで、ちょっと一息つくのもまた楽し(Messukeskus / Habitare2015)

左「デザイン・フロム・フィンランド」のコーナーで話題の「イロア・ワン(ILOA One)」。フィンランドの学校で使われている、姿勢が正しく座れるデザイン・チェア(提供:myKolme Design)
右:おしゃれなカフェやレストランで、ちょっと一息つくのもまた楽し(Messukeskus / Habitare2015)

9月上旬は美しい秋晴れの日が多いので、ヘルシンキ市民も仕事帰りに、週末には子供連れで気軽にイベント会場をはじごします。デザインを通して、近隣の北欧国や日本など、グローバルな繋がりもどんどん広げている祭典ですので、是非、観光がてら一緒に盛り上がってみて下さい。Tervetuloa!(テルヴェットゥオラー!=ようこそ)

ハビターレ会場と同じメッスケスクスで同時開催されているアンティークやヴィンテージの専門コーナー「アンティーッキ」。掘り出し物が見つかるかもしれません

ハビターレ会場と同じメッスケスクスで同時開催されているアンティークやヴィンテージの専門コーナー「アンティーッキ」。掘り出し物が見つかるかもしれません

※当稿はイベント開催前に執筆されました。画像は2015年、2014年開催分、及び今年展示される予定のイメージ画像です。


【参考URL】

■ヘルシンキ・デザインウィーク公式(英語版)http://www.helsinkidesignweek.com/

■ハビターレ公式(英語版)http://habitare.messukeskushelsinki.fi/?lang=en

 

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