サンタクロース事務局

サンタクロース村通信

2015年は、あの有名作曲家の生誕150年記念

2015年は、あの有名作曲家の生誕150年記念もお祝いしています!

サンタクロース村メールマガジン読者の皆様、モイ!フィンランド在住フリーライターの靴家さちこです。フィランドでも日の出が午前7時代と、大分春めいてまいりました。気温も2℃前後と雪解けも間近なようです。

さて今回は、そんな心躍るフィンランドから、今年で生誕150周年記念を迎えるジャン・シベリスの話題をお届けします。

代表作『フィンランディア』、『交響曲第2番』や『ヴァイオリン協奏曲』で知られるこの作曲家の名前は、クラッシック・ファンでなくても一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?ちなみに映画『ダイ・ハード2』のエンディングや、アニメ『牧場の少女カトリ』のBGMでも彼の作品からの編曲が使われているそうです。

図1

ジャン・シベリウス(Jean Sibelius)は、1865年12月8日にハメーンリンナで、フィンランド人の中でもスウェーデン語を母語とする、スウェーデン語系の家系に生まれました。出生時の洗礼名はヨハン・ユリウス・クリスチャン (Johan Julius Christian)でしたが、家族からはフィンランド人に多い名前のヤンネ (Janne) のあだ名で呼ばれていたそうです。さらに学生時代に、貿易商だった叔父がフランス語風に自称していたジャン(Jean)という名前を譲り受け、ジャン・シベリウスになったそうです。おしゃれですね。

 

図32

シベリウスは、青年時代にはヴァイオリニストを目指していましたが、やがて作曲に専念するようになります。1885年からヘルシンキ音楽院で学び、1889年にはベルリンに留学。留学中にはリヒャルト・シュトラウスの『ドン・ファン』の初演やハンス・フォン・ビューローが演奏するピアノソナタを堪能し、ウィーン音楽院ではカール・ゴルトマルクにも師事しました。

1891年には、かの有名な『クレルヴォ交響曲』を手がけ、翌年春に初演。1892年にアイノ・ヤルネフェルトと結婚し、後に6人の女の子にも恵まれたシベリウスは、1896年に、これまた有名な『トゥオネラの白鳥』、1898年には『鬼蜘蛛の歌』、1903年には『悲しきワルツ』などと次々に有名な曲を生み出します。

1899年に発表された『愛国記念劇』の7曲目を改作、独立させてできた交響詩『フィンランディア』も、大人気を博しました。ちなみに『フィンランディア』は、愛国的な感情を煽るとされ、当時フィンランドを支配していたロシア当局から弾圧を受け、別名で演奏されたこともあるそうです。それにも屈せずシベリウスは、さらに『エン・サガ』、『ポホヨラの娘』、『吟遊詩人』、『大洋の女神』など、フィンランドの国民的叙事詩『カレワラ』に基づいた作品の数々を発表しました。これらの品には、当時の、民族や国家などのアイデンティティーを意識した「ナショナル・ロマンティシズム」の影響が強く出ています。他の多くの当時のスウェーデン系の人達がそうであったように、日常ではスウェーデン語を話しながらも、アイデンティティーはフィンランド人。それでいてロシアの支配下で暮らしていた当時の様子はもう、想像しようにも複雑極まりないですね。

図62

 

その後1915年に『交響曲第5番』を作曲し、1923年には第6番、1924年には第7番と1925年の交響詩『タピオラ』で創作活動のクライマックスを迎えたシベリウスですが、それ以来特筆すべき作品はほとんど発表されなくなりました。世間では「次は交響曲第8番?」と期待が高まる中、年を追うにつれ自己批判的性向が高まり、創作が難しくなってきたのです。ちなみに過去のシベリウスの手紙には「交響曲第8番は括弧つきでの話だが何度も“完成”した。燃やしたことも1度ある」と記されていたそうです。

かくして1957年9月20日に91歳で亡くなったシベリウスは、多くの人達に惜しまれました。ヘルシンキの大聖堂では国葬が営まれ、棺はアイノラの庭に葬られました。以降、シベリウスはユーロが導入する前のフィンランドマルッカ札にもその肖像が描かれており、ヘルシンキにあるフィンランド唯一の音楽大学は「シベリウス音楽院」と名付けられ、長年の自邸アイノラは一般公開され、夏の観光地として有名になりました。そのアイノラがあるヤルヴェンパーと、シベリウスの生家があるハメーンリンナやヘルシンキには、「シベリウス通り」という道もあります。西の都トゥルクにも「シベリウス博物館」があり、フィンランド屈指のオーケストラ、ラハティ交響楽団は、2000年にその本拠地として「シベリウス・ホール」を建設しました。

図72

このように、月日を経てなおフィンランド人の日常生活になじみ深いシベリウスですが、生誕150周年を記念して、ヘルシンキのアテネウム博物館をはじめ、フィンランド全土はもちろん、世界各国で様々な特別イベントが催されています。うーむ、恐らくシベリウスをテーマにしただけでも、1週間ぐらいは楽しくフィンランド旅行ができそうですね。また、お土産には今年限定で販売されているシベリウスチョコレートなどはいかがでしょう?日本から多くの皆様のご来フィンをお待ちしております!

図93

 

 

 

 

 

Post navigation